ペレ

1987年に製作されたデンマーク・スウェーデンの合作映画である。スウェーデン移民の年老いた父と幼い息子ペレが新天地デンマークで生活を始める姿を描いている。
デンマークのプロレタリア作家マーティン・アンダーソンによる1910年に出版された小説「勝利者ペレ」を原作とし、監督ビレ・アウグスト、脚本家ペル・オロフ、作家ビャルネ・ルーターらにより脚本化された。 一人の少年の成長を中心に描きながら19世紀末の北欧の貧困・飢餓・階級社会を背景としている。

故郷スウェーデンにて妻を亡くしたラッセは幼い息子ペレを連れて、スウェーデンからの移民船に乗りデンマークのボーンホルム島に着くと、ある大きな農場にて牛小屋係りとして雇われることになった。彼らは過酷な労働・貧困・よそ者への差別などから打ちひしがれるが、新生活に対する夢を胸に秘め何度も立ち向かってゆく。

おすすめ映画情報

メインキャスト

ペレ: ペレ・ベネゴー(本名)
ラッセ: マックス・フォン・シドー
エリック: ビョーン・グラナス

スタッフ

監督: ビレ・アウグスト
原作: マーティン・アンダーソン

評価

平易と安易の差

投稿者:五輪山 投稿日:2008-01-12 22:18:25
カンヌでパルムドール(最高賞)を獲ってますが、いわゆるカンヌの常連監督たちの「オレの映画を読み解け」的な、テキストが必要になるたぐいの映画ではありません。小学校高学年位なら描かれている世界が分かる、きわめて平易な演出です。
でも平易ではあるけれど、安易ではないです。安易というのは、韓流や最近の邦画にありがちな、登場人物が号泣すれば観客も泣くだろう的な演出を指します。CMで「涙が止まりませんでしたぁ」とか言ってる人は、本当に物語に感銘を受けたのか、役者の泣き顔にもらい泣きしただけなのか、家に帰って冷静に考えてみるべきです。そう簡単に術中にハマるもんじゃありません。涙が安くなります。
この映画では悲しいことがいくつも起きますが、監督は安易な演出を一切拒みます。
ネタバレになりますが、ペレと年老いた父親の別れの場面が象徴的です。
希望を失った父と、希望を胸に旅立つ少年ペレが、雪の日の朝、最後の握手を交わします。ここぞと、ふたりの顔のアップを切り返したい所ですが、カメラはずっと引いたままです。白い雪の中に影絵のような二人のシルエット。長身の父が背をかがめ、手を伸ばす様は、今にも朽ち枯れてしまう老木に見え、上を見上げ手を差し伸べるペレの姿は、芽吹いたまま、まっすぐ伸びてゆく若木のよう。
これは私がそう見えたという事でなく、観た人がそう感じるように撮ってるんです。しかもそれが一編の絵のように美しい。一人よがりな文体を用いることなく、芸術としても香り高い。
私は別に演出の仕事をしているわけではないですが、劇場で観た時「これはもう、かなわないな」と思いました。
その映画が星二つ…。上の解説を書いた方は今一度DVDでじっくり観直されるといいと思います。

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